· 

子ども達が初めのモノを知っていく、有意義なムダ

子ども達が素材や方法と初めて出会う時、手取り足取り教えるよりも、それがどういうものかを自分で探求し、発見していくのを見守ってみる。

すると、彼らのすごい力が見えてきます。

 

こんにちは。アートあそびラボの苅部(かるべ)です。

 

広い窓に、貼ったり、描いたりして遊ぶ

3歳のお部屋にある広い窓に、貼ったり、描いたりできる設定を作りました。

 

子ども達はカラーセロファンを貼り重ね、「こんな色になったよ!」と色が変わる事を発見します。

透かしてみると、向こう側がピンクの世界になる事がうれしそうです。

ずっとサインペンで描いている人もいます。

テープとの初めての出会いを見守ってみると・・・

マスキングテープがある事に気づきました。

とりあえず引き出してみて、テープをビ――――と1本使いきり、窓に貼ります。

自分の両手の長さ以上には出せない事に、四苦八苦している子もいます。

 

私が幅の広いクリアテープを使うのを見て「やりたい!」と言うので渡しました。

接着面を握ったり、裏返ったりして、絡んでいきます。

何回もテープを出してみる。思うようにいかない。

そうしているうちに、片面がべたべたしていることに気づき、絡まないように扱える子も出てきました。

 

私が端を持って、丸い方を渡しました。力で引っ張ってもテープは出てきません。

そのうちに軽く持って、くるくる回すとテープが出てくる事に気づきます。

有意義な無駄もある

その姿を先生方と振り返りました。

 

子ども達にとって初めて出会うものは、理屈も使い方も未知です。

友人や大人がやっているのを見て、真似てコツをつかむ姿もあります。

 

これはナニモノか?とりあえず触ってみる。グチャグチャになる。そこにはたくさんの無駄が生じます。

一番たくさん無駄使いした子が、いつの間にかその物の特性をつかみ、使えるようになっていくのを見ると

それはとっても「有意義な無駄」だと思えてきました。

 

大人には、テープは貼り合わせるもの。と言う既成概念がありますが、

それを最初に理屈で教えられるよりも、自分でその物を探求し、発見していくほうがおもしろいはず!

貼る、切る、出す、等の行為を繰り返しながら、自分に取り入れていくのだろうと思います。

 

まだ理解力が追い付かない子も「わ~くっつく!」「こんなことになった」と心を動かすことで、その物に興味が生まれます。

それが「どうしてだろう?こうしたらどうなるのかな?」という探求心につながるでしょう。

 

大人が思う「正しい使い方」を押し付けず、無駄(と大人が思う事)を見守る。

さり気なく援助しながら、

彼らの「はじめまして」の瞬間に立ちあえることを、一緒に楽しみたいと思います。

最後は窓に飾った残りの捨てられるテープを、まるめてボールにして遊びました。
電車はくっつくかな?