子ども達は大人の指示、先導が無くても、
勝手に考え、試し、工夫し、秩序を生み出し、何かを学んでいく。
こんにちは。アートあそびラボの苅部洋子(かるべようこ)です。
横浜市内のあかね台光の子保育園での、<美術あそび>での様子です。
小さい時から、主体性を大切にされて、育ってきた年長さん。
自分で考えて生きていく力、たくましさを感じました。
その日は、ビニールのシートを中空に張って、そこに絵の具で描く提案をしました。
ふと気づくと、用意した絵の具をどんどん流し始めます。
当然、絵の具は「あ~っ!!」という間にに無くなります。
早々に私たち大人は、「描く」という想定を手放しました。
流れる絵の具のように、子ども達の流れについて行く覚悟を決めて
危険な事がないかだけを、見守ります。
呆然と立ち尽くす。感じ(笑)
下から眺めたり、水をためては流したり。
素材の可能性を、どんどん開拓していきます。
子ども達は
隅っこに(隠しておいた?)絵の具やら、道具を
勝手に使い始めます。
「これつかっていいの?」などと聞く子はいません。
「それ使っていい、って言ってない」などという先生もいません。
使われたくないものは、しまっておくべきですから。
しかもここ(保育園、美術あそびの場)は、子ども達のための場、です。
おもしろい事を思い付き、
勝手にいろいろな事をやり始めます。
近くにあった水道。元栓を開かなければ水は出ません。
知っていたのか、考えたのか
元栓を開けて水を出して、ビニール上に流し始めます。
もちろん、大人の顔色をうかがう子はいません。
「やめて」と言うよりも、すごいなこの人達。大人のやること見てるんだな~
という尊敬に近い思いで見守ります。
そのうちに、ビニールに高低をつけると、色水が川のように流れることに気づきます。
下で押さえる人と、上から流す人に分担されます。
水を流すたびに、何かを工夫しています。
豆腐パックが、船のように流れていくことに、気づきます。
そして、何度も流しながら
どこに水を流せばいいか、水の量はどうか、などを改善していきます。
だれかが「O先生に(担任)に向かって、みんなで流そうよ!」と言い出します。
みんなが上流に集まる中「○○ちゃんがいないから、待ってあげて!」という人も。
だれかが「3,2,1!」と掛け声をかけ、
一斉に水を流すと、豆腐パックや筆やカップが、一斉に担任の先生に向かって流れます。
大歓声✨
その間、大人が先導したり、煽ったり、指示したりすることはありませんでした。
(大人が考えていたのは、床の絵の具落ちるかなあ…くらい(笑))
大したもめ事もなく、
水道を使うときも、勝手に並んで順番を待っています。
子ども達は勝手に
考えて、工夫して、体験し、秩序を生み出し、他者を思いやり、
一体感を生み出していきました。
やりたいと思った事を、どうしたらできるか。自分で考えて行動しています。
自分がどうしたいのか、をちゃんとわかっています。
きっと、やっていはいけない事(危険な事)も、自分たちで判断していたことでしょう。
この保育園では【子ども達の「やってみたい!」を大切にする】ってどういうことか
を先生方がいつも考えて、保育が行われています。
小さい時から、そういう環境で育ってきた彼らに
自分で考えて生きていく力、たくましさを感じました。
細かく制限、コントロールすれば楽だけど
子ども達を信頼してゆだねる。
失敗し、考え、判断し、自由な発想で展開させていく体験を、奪わないように
自分で考えていく力、を培うにはどう関わればいいか
先生方と一緒に、考えていきたいと思います。
最後の最後まで、楽しみ切る天才。
「描く」なんかよりも、もっと楽しいこと、素材の可能性を引き出していました。
春には、小学校という学びの場に巣立っていく彼ら。
自分たちで発見し、やりながら、解かっていくのは楽しい!
という体験を、心と体に刻み付けてくれればいいな。と思います。
コメントをお書きください